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まどろみの中に
コーヒーにミルクを入れた瞬間の、あのまどろみが好きだった。
黒色に混ざる白濁色が、ゆっくりとグラスの中で浮上し、クラゲのようにゆらゆらと動いている。
邪魔をすることはしない。
ジッと見て、自然に溶け込んでいくまでの永遠と思われるような時間を、夢現かのような瞳で過ごすのだ。
彼女もそうだった。
私は、グラスにできた水滴を指でぬぐってみながら、まだ新しい記憶をゆっくりと浮上させてみた。
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