4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
それから数週間後、私は今、彼女の故郷の海に来ている。
紫の風呂敷に包まれ四角い箱に入った骨壷を抱えて、明け方の東京から真昼の彼女の故郷にまでやってきた。
「お待ちしておりました」
駅に着くと、葬儀屋の方が出迎えてくれた。
海に散骨するにも手続きが必要なのだ。私は早々に葬儀屋の車に乗り込み、各種の案内と手続きを済ませた。
散骨するには船に乗る必要があるという。
「少々時間がかかりますので、お待ちいただく間に何か飲まれますか」
「じゃあ、アイスコーヒーで」
「かしこまりました」
運ばれてきたアイスコーヒーには、スティックシュガ―とミルクが付いてきた。
ミルクをアイスコーヒーにとぷんと入れる。その白さはまさしく純白だ。
ゆっくりゆっくりと溶け合ううちに、その色はまどろみの中に消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!