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僕はある日 恋をしてしまった。
今まで感じた事のない想いが僕の毎日の日々を悩ませていた。
彼女を知ったのは僕が先生にプリントを提出する為、職員室に向かっていた時だった。
『あの…落ちましたよ。』
とても綺麗な声に呼び止められた僕はゆっくりと振り返った。ゆっくりと言っても極普通のスピードだったのだろうが僕にはソウ感じた。
振り返った時、ほんの一瞬だけ時間が止まった様に感じた。彼女は優しい笑みを浮かべ僕の落としたプリントを差し出してくれていた。
『あ、ありがとう。』
それから僕は学校で彼女を捜す様になっていた。
最初は同じクラスか同学年かと思っていたが全然違っていたらしい。
僕が彼女の事で覚えているのが2つ。
1つは、優しい笑顔。
2つめは、青い布のブックカバーの本だった。
僕がプリントを落とした時に、大切そうにソノ本をプリントとは逆の腕で抱いていた。
もしかしたら読書好きなのか?っと思った僕は図書室に行って本を探すフリをしながら彼女を捜していた。 だけど何処に行っても彼女の姿は無かった。
でも、ある日の事だった。
中庭のベンチで風に吹かれながら読書をしている彼女を発見した。
間違いない!あのブックカバーはあの時の彼女だ!
確信した僕は彼女に近寄った。
心臓が胸を貫くのでは無いのかと思うくらい、緊張していた。だけど やっとの想いでみつけたんだ!せめて友達にでもなってほしい!
僕は彼女に声をかけた。
すると彼女は手に持っていた本を膝の上に置いて優しい笑顔を向けてくれた。
「僕と友達になってくれませんか!」
彼女は優しく笑って私で良ければ…と言ってくれた。僕は彼女の返事を聞いて大喜びをした。そして、もっと彼女の事を知りたかった僕は彼女の膝の上の本を指して
「何の本を読んでるんですか?」
彼女は僕の問に応え青いブックカバーを本から外して、優しく笑いながら僕にタイトルを見せてくれた。
えっ!
僕はそのタイトルを見て彼女の気持ちが解った。
僕の目からは涙がポロポロと流れた。
彼女は優しい笑みを向けながら僕に言った。
「本当に鬱陶しい方ですね。」
そう言って彼女は立ち去って行った。
本に書かれていたタイトルは…
『鬱陶しい男を丁重にお断りする方法』
僕の青春の1ページは幕を閉じた。
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