前編

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「ねぇ」 「そうだラファイだ!俺の名前。久しぶりに出したものだから忘れていた」 「呼ばれていないの?」 「今じゃ魔王が名前だな」 「…なら私が呼んであげるわ、ラファイ。 私は美尾野神(みおのかみ)よ」 「長いから美尾でいいな」 「まぁ、好きにして」 それからは度々下界に降り、そのたびに美尾が駆けつけてきた。 ただここ何年かは美尾の力が弱っているため、自分を保つのが難しいらしく、最も力が強くなる8月15日に毎年会おうと約束していた。 明日がその約束の日。まぁ、あと数時間したら下界では8月15日になってしまうからその前までに、片付けをしなくてはならない。 美尾が姿を現わさないと分かっているので、下界に降りるのも1年ぶりだ。 昨年合ったときは、5歳児くらいの見た目だった。 そんな美尾を抱っこしたり、おんぶしたりで嫌がっている姿は最高にかわいかったなーと思いだし笑いをしていたところをウガルに見られてしまった。 「なんでもない」 「は、はい」 納得いかない顔をしていたが、それ以上なにも言ってこなかった。
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