第5章 父の最期の言葉

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第5章 父の最期の言葉

長い梅雨が明けて、初夏の陽気な日差しが街を照らした。 僕は再び片岡さんに誘われた。 何でも、家でバーベキューをするらしい。 「お父さんの会社の人達も集まるんだけど、良かったら池上君も来ないかって」玲蘭は、僕の顔色を伺った。 「僕なんか行ってもいいの?」 「勿論よ。私が友達を連れて来たのが、よっぽど嬉しかったみたい」 「そうか。じゃあ行くよ。本当はバーベキューって初めてなんだよ」と僕はわくわくした。 「いらっしゃい。今日は沢山食べていきなさい」 武史は翔太に、快く振る舞った。 屋敷の庭先に、食材が沢山並んでいる。 10名程の社員の人達も、日頃の仕事の疲れを癒すかのように、大いに盛り上がっている。 「おっ、君は玲蘭ちゃんの彼氏かな?」と若い男性が、翔太にジュースを手渡した。 「あ、どうも。え?いえいえ、ただのクラスメートでして」と僕は慌てて、ジュースを飲み干した。 「駄目よ、山本君。そんな野暮な事聞いちゃあ」とお姉さんが声をかけた。 「だって美子さん、玲蘭ちゃんの友達って初めてじゃないですか?ほら、いつも部屋に閉じこもっていた玲蘭ちゃんも楽しそうだ」 玲蘭は、笑いながら社員の人達に囲まれている。 「あの子も色々あったけど、きっと君のお陰ね」と美子は翔太の肩を叩いた。 僕は何もしてないけど。と、恐縮した。 すると「でも、奥さんがなあ」と山本は顔をしかめた。 「駄目よそんな事、ここで言っちゃあ」と美子は釘を刺して、行ってしまった。 え?お母さんがどうかしたの?
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