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第3章 2つ目の怪現象
その日は、あいにくの土砂降りの雨だった。
僕たちの学年は、課外授業の一環で海遊館に向かっていた。
クラスごとにバスでの移動だ。
「ここの海遊館、日本で3本の指に入るらしいぜ」と春樹が言ってきた。
「まあ、魚には興味ないげど、息抜きにはいいよな」と康夫が笑った。
すると「痛てっ!」真知子先生に小突かれた。
「井上君、課外授業は息抜きとは違うのよ」と真知子先生は苦笑いだ、
バスの中は、大爆笑となった。
そしてバスは、まだ舗装されていない下り坂に差し掛かった。
すると突然、バスがボンッ!と大きな音と共に大きく揺れた。
「うわっ!」「どうしたんだ?」と各々叫んでいる。
「後輪がバーストしたようです。少し停車しますんで」と言った後「あれ?ブレーキが効かない!」と運転手は大声を上げた。
バスはぬかるみに足を取られて、左右に振り出した。
「ええ?」「助けてえ!」
長い下り坂で、スピードが上がって行く。
僕は窓を押さえながら、身体を支えた。
うそ?死んじゃうのか?
そう思った時、雨のしぶきがバスのフロント目掛けて、一気に降り注いだ。
それはまるで、水の塊だった。
キキーッ!凄い音と共に、バスは止まった。
全員が頭を抱えて、うつ伏せになっている。
「あれ?助かったのか?」
運転手と先生は、先にバスを降りてフロントに回った。
「何これ!」と叫ぶ声を聞いて、僕らも降りて行った。
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