第3章 2つ目の怪現象

3/3
前へ
/45ページ
次へ
「ええ?誕生日会?俺はパス」と春樹はシュートゲームに夢中だ。 「何だよ!じゃあ康夫は?」 「僕もやめとくよ。余り片岡さんの事、知らないし」と乗り気でない。 「何だよ2人とも。クラスメートじゃないか」僕は2人の返事にがっかりした。 「翔太さ、余りあの子と関わらない方がいいよ。変な噂も聞いたし」と康夫が意味深に言った。 「何だよそれ?」僕は康夫を睨んだ。 「片岡さんと同じ中学の本田に聞いたんだけど、彼女、中学を何ヶ月も病気で休んでいたらしいよ。でも、それは言い訳で、本当はイジメで自殺しかけたらしいって」僕は、そこまで言った康夫の襟首を掴んで「そんな噂、信じるのかよ!」と激怒した。 「おい、起こるなよ!本田が言ったんだって」と康夫が慌てた。 「お前がいいんなら、俺たち何も言わないけどさ」と春樹が言って「今日は帰るわ」と2人して、ゲーセンを出て行った。 僕は家に帰り、また部屋に閉じこもった。 何だよ、そんな噂くらい… 彼女が何をしたっていうんだよ… 僕は何故か落ち込んでいた。 「どうしたの?お兄ちゃん。なんか浮かれたり、落ち込んだりして」と良美がそっと声をかけて来た。 「あのさあ、僕のクラスの女の子の事なんだけどさあ」そう言って、玲蘭の噂話を聞かせた。 勿論、名前は伏せた。 「でも女の子は、訳も聞かずに接してくれるのが嬉しいものよ。その噂が、嘘でも真実でもね」 良美はそう言ってくれた。 「そうだな。ありがとう」 「頑張りなよ。お兄ちゃん」良美は笑って、部屋を出て行った。 そうだよ。僕だけでも信じてあげなくちゃ! あれ?それより片岡さんの家って何処だっけ? 肝心な事を聞くのを忘れた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加