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第4章 2人きりの誕生日会
僕は、広いお屋敷を見上げた。
「片岡さんの家って、こんなに大きいの?」
僕はたまげた。お嬢さんなんだ。
僕は呼鈴を押した。すると奥から、エプロンをつけた女性が現れた。
「池上さんですね?お待ちしておりました。どうぞこちらへ」と中へ案内してくれた。
門扉から家まで石畳が敷いてあり、両側にはいくつもの木々が隙間なくそびえている。
玄関に入ると、天井からシャンデリアが吊るされていた。
「ほえー、こんなの初めて見たよ」
そして応接間に通されると「いらっしゃい。池上君」と玲蘭が迎えてくれた。
「あの、これ。お誕生日おめでとう」と僕は、背中に隠しておいたプレゼントを渡した。
「うわあ、どうもありがとう」と玲蘭は、大事そうに抱えた。
「さっきの人、もしかしてお手伝いさん?」と僕が聞くと「うん」と玲蘭は一言返した。
「いらっしゃい。わざわざ来て頂いて」と戸口から若い女性が入って来た。
「どうも。え?あの、お姉さん?」と玲蘭に小声で聞いた。
「お母さんなの」と玲蘭は母を紹介した。
「私は後妻なの。本当の母親は、玲蘭が小さい時に亡くなってしまって」と母親が説明した。
「そうなんですか」僕も父親を亡くしている。
「さあ、そんな事よりお食事の用意出来てますよ」母親はそう言って、食卓に案内してくれた。
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