第5章 父の最期の言葉

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僕は気になって、山本さんに聞いてみた。 彼氏としては心配です…などと誤魔化して。 「今の奥さん、社長と結婚してまだ2年足らずだけど、何かと経営に口を挟むらしいよ。まあ、元々社長秘書なんで、社内のことは知り尽くしているからな。でもまだ28歳でそういうのはね。皆んな良く思ってないんだ」 大人の事情は複雑なんだな。 「それに、いじめるらしいよ。玲蘭ちゃんの事」 「え?本当に?」僕は耳を疑った。 あんな誕生日会までしてくれたのに? 「この事、内緒だぜ。知れたら僕の首が飛んじゃうよ」そう言って山本は、他の社員と合流した。 僕はふと、キッチンの窓を見た。 窓の中から、玲蘭をじっと見つめる真弓の姿が、そこにあった。 そして食材も程よく無くなり、バーベキューも解散となった。社員の皆んなはお礼を述べて、各々帰っていく。 「池上君だったかな?まだ時間良かったらどうだい?玲蘭の昔の写真でも見ていかないか」と武史が誘って来た。 「え?いいんですか?」勿論、僕は興味深々だ。 「構わんさ。玲蘭は後片付けの手伝いで、どうせ手が離せんだろうし」 玲蘭はお手伝いさんと、仲良く洗い物をしていた。 僕はお言葉に甘えて、お父さんの書斎に足を踏み入れた。 そして書棚から、アルバムを抜き取り見せてくれた。
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