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「へえ、可愛いですね」
双子の生まれたての写真。
そして七五三かな?着物が2人柄違いだ。
遊園地に動物園、双子のお姉さんといつも一緒だった。
そしてある時から、1人になった。
「君も聞いていると思うが、姉の聖蘭と前妻の圭子は、事故で亡くなったんだ。それからあの子は変わってしまった」武史はしみじみ話した。
「そう言えば、前のお母さんの姿が、一枚も写ってないですね?」僕はそう言ってから、はっ!とした。しまった、聞くんじゃなかった。
すると「まあ、今の妻がね。余り良く思ってなくてね」と武史は曖昧に応えた。
その時、アルバムから一枚の写真がこぼれ落ちた。
「あれ?」僕はそれを拾い上げた。
「ああ、それは昔、海難事故にあった時に家族を助けてくれた人の、お葬式の写真だよ。私達の命の恩人だ」
僕は手が震えていた。
「お父さんだ」
「え?何だって?」武史は聞き直した。
「僕は小さかったから、写真でしか知らないけど、これ、僕のお父さんです」
2人は沈黙した。
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