第6章 真弓の本性

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第6章 真弓の本性

玲蘭は、部屋で宿題をしていた。 「ちょっといいかしら?部屋の片付けを手伝ってくれない」と真弓が顔を出した。 玲蘭がその部屋に入ると、中は閑散としていた。 「聖蘭の荷物は?」玲蘭は驚いて尋ねた。 ここは聖蘭の部屋だった。 亡くなってからも、そのままにしておいたのに、今は殆どもぬけの殻だ。 「いつまでも、そのままって訳にはいかないでしょう?荷物は地下の書庫に置いたから、あなたは布団を片付けて頂戴」真弓はそう指示した。 「でも…」と玲蘭は躊躇している、 「早くしないと、晩御飯抜きだよ!」と真弓は布団を掴んで玲蘭に押し付けた。 仕方なく運ぼうとした時、真弓が足を引っ掛けた。 「きゃっ!」 そして玲蘭は、大きく転んだ。 「何をやってんの?鈍臭いわね」真弓はそう言って、下に降りて行った。 玲蘭の目から、涙が溢れてきた。 「お父さん…」 声にならない叫びが、玲蘭の心の中で響いていた。 僕は、昨日の玲蘭のお父さんの話を、お母さん聞かせた。するとお母さんの手が止まった。 「本当なの?」 するとお母さんは、奥の仏壇の棚から、古い名簿を持ってきた。 「これは当時、葬儀に参列頂いた方の名簿なの」 そう言ってお母さんは、名簿をめくっだ。 指でなぞって行くと「あった!」 そこには、" 片岡 武史 " と書いてあった。
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