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「そんな偶然があるのね」とお母さんは、どこかしんみりとしていた。
そして「その女の子、今度連れて来なさいよ。お父さんが助けたお嬢さん。お母さんも是非会ってみたいわ」とそう言った。
きっとお父さんの事を、思い出しているのだろう。
「今度、連れてくるよ」
何となく、僕と片岡さんの距離が、またぐんと近くなった気がした。
その翌日、学校で玲蘭にその話をした。
「母さんが一度、片岡さんに会いたいって言うんだ。良かったら今度の休み、家に来ない?」と誘ってみた。
「そうなの?じゃあお邪魔しようかな。その時のお礼も言わなくちゃいけないし」と玲蘭は承知してくれた。
でもその顔は、何かに悩んでるようにも見えた。
そして彼女が家に来た。
「まあ、とっても可愛いのね」とお母さんは喜んでいる。食事をしながら、色んな話しをした。
すると「お兄ちゃんの何処がいいの?」と良美が突然聞いた。
「何でお前もいるんだよ!何処か遊びにでも行ってこいよ!」と僕は慌てて言った。
良美がいると、何を言い出すかたまったもんじゃない。
「いいじゃん別に、ねえ?」と玲蘭に同意を求めている。
「優しくしてくれるからかな…」と玲蘭は、顔を少し赤らめた。
しかし、僕の顔はそれ以上に真っ赤だった。
そして話は、聖蘭とその母親の事になった。
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