第7章 クルージングの罠

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「あなた、お薬はちゃんと飲んで下さいよ」と真弓は、カプセルを渡した。 心臓に持病がある武史は、それを飲み干した。 「今日は少し、はしゃぎ過ぎたかな」と武史は、早々に横になった。 「玲蘭にホットミルクをあげて来るわ」真弓はそう言って、部屋を出た。 キッチンでミルクを温めていると、清子が顔を出した。 「奥様、お先に寝かせて頂きます」と挨拶してくると「丁度良かったわ。これを玲蘭に持って行ってあげて」と真弓は、カップにミルクを注いだ。 そしてその中に、手に持っていた薬をそっと落とした。 「分かりました」と清子はカップを受け取り、キッチンを後にした。 真弓は、出て行く清子を見送りながら、ふふっと笑っていた。 そして次の日は、あいにくの曇り空だった。 僕は隣の部屋をノックした。玲蘭からは、何の返事もない。 「まだ寝ているのかな?」そのまま、僕はキッチンを覗いた。 女性3人が、朝食の用意をしていた。 「おはようございます」僕は声をかけた。 「おはよう、よく眠れたかしら?」真弓が顔を上げて言った。 「はい、それはもうぐっすりと」僕はそう言って、何か手伝おうとすると「あら、翔太君はいいのよ。ここは女性陣に任せて、デッキでゆっくりしてなさいよ:」と美子さんが言ってくれた。
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