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第2章 気になる彼女
「翔太!学校に遅れるわよ」お母さんが台所から呼んだ。
「分かってるよ」僕は洗面台に向かって、大きく息を吸い込んで顔を下げた。
「顔はちゃんと洗えたの?」とお母さんはしつこく聞いてくる。
「もう大丈夫だって、もう高校生なんだし」僕はあれ以来、顔を洗うのも怖いくらいの水恐怖症になった。本当に中2位までは、水中眼鏡をつけて顔を洗ったくらいだ。
「お父さんが生きていたら、心配してたでしょうね」お母さんは、ぼそりと言った。
僕のお父さんは、海上警備の仕事をしていた職員だった。僕が幼い頃、嵐で難破した小型船を助けようと、海に飛び込んだ。
周りは止めたのだが、お父さんは聞かなかった。
そして、無事に皆んな救助されたのだが、替わりにお父さんは、波に飲まれて亡くなったのだ。
「良美は?」僕の妹は、2つ下の中2だ。
「あの子は部活の朝練よ」良美は水泳部だ。
僕と違って、水に慣れ親しんでいる。
僕は朝食を済ませて、学校に向かった。
今日は高校の初日。新しいクラスの始まりだ。
中学からの友達も何人かいて、まあ少しは心強いが、やっぱり緊張するもんだ。
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