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「皆んなやめろよ!可哀想じゃないか」僕がそう言って庇うと「何だお前は、こいつの彼氏か?じゃあ一緒に水浴びでもしてな」と男子はまた蛇口をひねった。
僕は水を浴びせられて、息が出来なくなった。
く、苦しい…
あの頃の記憶が蘇ってくる。
助けて…
そう思った瞬間、ホースの水が透明な壁にぶち当たったように、僕らを避けたのだ。
「な、何だ?どうなってんだ?」皆んな唖然としていた。
すると今度は、ホースが男子の手から勝手に離れて、水が彼等目掛けて勢いよく発射された。
「うわっ!」「ちょっと、冷たいって!」
あっという間に、彼等も水浸しとなった。
「何よもう!」と女生徒らは、濡れた髪を絞りながら、校舎に戻って行く。
「ちょっと、待ってくれよお」と男子生徒らも、すごすごと後を追っていった。
僕は唖然として「何だったんだ?」とホースの先を見つめている。
「ごめんね」玲蘭が、後ろから声をかけた。
僕は振り返り「大丈夫だった?酷いやつらだな」と彼女を見た。
すると、お互いの姿を見比べてる内に、なんだか可笑しくなってきて、いつの間にか、クスクスと2人して笑い合っていたのだった。
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