推察

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「その友達のこと、信用してんだね」  直接的な答えが出るかと思いきや、ちょっとずれた答えが返ってきた。  僕はほんの少しだけ、がっかりしてしまう。 「それなら嬉しいんだけど」 「信用しているから、その友達にとって雨の日に関する何か重要な話があるのかも」 「重要な話……例えば?」 「例えば、実は重度の偏頭痛持ちとか。ほら、いるでしょ。雨になると頭痛くなる子」 「確かにいるね」 「まぁ、そんなに悩むなら本人に聞くのが一番いいんじゃない?」 「そうだよね……」 「で、次会える日はいつなの?」 「日曜日だよ……あ」  今気付いた。  この悩みが友達の悩みという設定が崩れている。  その証拠に千影は、にたぁ……と笑みを浮かべていた。 「嘘はいけないなぁ~啓太くん?」 「う……ごめん」 「まぁ、いいけど。内容は本当だったみたいだし。ちゃんと教えてもらうんだよ?」 「うん」 「ふぅ~! 恋だねぇ~」 「恋って……そんなんじゃないよ」 「え~? その友達のことで頭いっぱいになってるのに?」 「好きとかじゃないから。ただ気になるだけ」  そう、ただ気になるだけ。  出来たばかりの繋がりに、名前なんてない。 「それにその友達が男だったらどうするの……」
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