出会い

4/4
前へ
/35ページ
次へ
「あのさ! 君が良ければなんだけど……明日も会ってくれない、かな……」  気付けば口走っていた。  会って数分の人に何言っているんだろうと心の中でつっこむ。  出てしまった言葉は取り返せない。  僕はあきらめて彼女の答えを待つ。 「明日、晴れ……?」 「え? あぁ、ちょっと待ってて」  スマホで明日の天気を確認する。  明日も晴れだった。 「晴れだよ」 「わかった。明日、会お」  彼女は少し歯を見せながら笑う。  雨だったら断られていたのかもしれないと思うと、ちょっと怖い。 「時間は……お昼で大丈夫?」 「うん」 「待ち合わせは……ここにしようか」 「うん」 「じゃあ、また明日ね」 「うん、また明日。バイバイ」  彼女は小さく手を振りながら、僕を見送ってくれた。  帰りの道中、頭は彼女のことでいっぱいだった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加