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一花はちょうど通り掛かった庭師に、「ボブ、明日の天気は!?」と大声で訊ねた。
天気を当てるのが得意なヴァンパイア庭師は、いつもの朴訥な口調で「一日中晴天です」と答えた。
「ありがとう!」
一花は満面の笑みで礼を言い、恋人に向き直った。
「じゃあ明日で!」
「わかった。では明日、一緒に出掛けよう」
心底嬉しそうな一花の笑顔に、レイも自然と笑顔になった。
そのまま二人は、一緒にレイの部屋に行った。
そこで一花は自分専用のスマホを手に、さっそく近辺のデートスポットを検索してみた。
観光地として人気の神戸だけあり、市内だけでも無数の観光スポットがヒットして、一花は大いに悩んだ。
「あー、中華街の屋台美味しそう……。あ、ルミナリエもいいなぁ。でも去年、大学の友達と見たしなぁ……」
ハンク手製のおやつのシュークリームも目に入らない様子で、一生懸命行き先を考える一花を、レイは隣に座って無言で見つめていた。
彼にしてみれば行き先などどこでも良かったが、一花が波止場町にあるメリケンパークはどうか、と訊ねてきた時には、「じゃあ明日はとりあえずそこに行こう」と即決した。
「他の場所はまた次に行けばいい。だろう?」
「じゃあ、デートは明日の一回だけじゃないってこと?」
「もちろんだ」
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