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「ヴァンパイアがクリスマスを祝うだなんて、ローマ教皇が見たらどう思うかな」
一花に誘われて仕方なく部屋から出て来たレイが、笑顔ではしゃぐ住人を見つめながらボヤく。
「確かに」と一花も笑いながら同意した。
「映画や小説に出てくる吸血鬼って、十字架とか聖水とかが弱点だよね? でもここにいる人たちは、みんな平気だよね。ていうか、ハンクとトニーなんてクリスチャンだし。ロザリオや聖書持っててお祈りしてるし……」
レイは真顔で、「クリスチャンのヴァンパイアは多いぞ」と言った。
「フィクションの中の吸血鬼、あれらは人が作った架空のモンスターだからな。人間側からすれば、自分達より遥かに強い存在の怪物が弱点がないなんて、ぞっとしない話だろう? 教会の権威を高める役目も果たすしな。宗教のプロパガンダにいいように利用されて迷惑な話だ」
「吸血鬼がいるなら、狼男や魔女もいるのかな」
「いるぞ」
レイがあっさり答えた為、一花はびっくりして「え、本当に!?」と聞き返した。
レイは真顔で「ああ」と答えた。
「魔女にも狼男にも会ったことがある。前者は独自のネットワークを築いてそれなりに権威を保っていたな。狼男は人間社会に完全に馴染んでいた。どちらも善人だったぞ」
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