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第七話「初デート」
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十二月の第一金曜日。
世間はすっかりクリスマスムードに染まり、レイの屋敷でも、クリスマス用の飾り付けが始まった。
一花が来る前から行われていたようで、毎年この時期になると、クリスチャンのハンクとトニーの指導の下、屋敷内は玄関ホールに大きなツリーが飾られ、庭の木々も色とりどりの豆電球で華やかに装飾された。
斎木の家ではツリーはおろか、クリスマスケーキもプレゼントもなかった一花だったが、この家に来てからは皆とクリスマスを祝えて、プレゼントも山のように貰っていた。
“ベツレヘムの星”を意味する星の形のオーナメントを最後にツリーに飾るのは、毎年一郎の役目だったが、今年は彼がいない為に代わりにハンクが付けた。レイが念動力で付けてやるといったが、彼は「それは神への冒涜です」と言って譲らなかった。
めいめいが持ち寄ったプレゼントをツリーの足元に飾り、ハンクと容子はクリスマス用の料理について打ち合わせを始め、一善とボブとトニーは今年のツリーの出来の良さについて語り合っていた。
皆が楽しげに語り合う中、一花とレイも少し離れた場所から三メートルの高さがあるツリーを見つめた。
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