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「私がおじさんのお嫁さんになるのよ」
「そりゃ名案だ!って、アホ!!
「やっぱりダメか」
「何、考えてんだよ」
「おじさんなら私、お嫁さんになってあげてもいいわ。たっちゃん、私がたっちゃんのお母さんになったらどうする?」
「千佳、テレビの観すぎだよ」
二人は声を出して笑った。
「千佳、何でもいいけど、茶化すなよ。僕にとってはけっこう深刻な問題なんだぜ」
「ごめんなさい。それにしても、おばさんは綺麗だったし、おじさんと超仲良しだったから、忘れられないのよきっと。生意気なようだけど、なんだか私にもおじさんの気持ちがわかるような気がする」
千佳は元気な頃の達也の母の姿をを鮮明に思い出していた。達也のの母、 静江 は町内でも屈指の美人で、達也の自慢の母だった。千佳も自分の母親と同じように懐いていたし、静江もまた達也の父がそうであるように、千佳を我が子のように可愛がっていた。その静江を若くして胃がんで失った達也の父、高志は当時、悲惨な落ち込みようで、周りの人を心配させていたが、一方で母を失ったまだ小学生だった達也の気丈な振る舞いは、多くの人たちの涙を誘っていた。千佳はその全てを目撃していたのである。そして達也を慰めるように、
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