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3.肝試しスタート
「凄いな、これは…」
山本の呟きも無理はなかった。
何も手入れされていなく中はボロボロだったが、受付や診察室などはそのままの状態で残っており『いかにも』という雰囲気を醸し出している。
「あれ、池手名さん?なにやってるんですか?」
いぞうが受付のテーブル付近で必死に何かを探している。
「いや、受け付をしないと。ここは有名な心霊スポットかもしれないが、このまま入ると不法侵入だ。ちゃんと受付をして、許可を得て入らないとダメだろ?すみませ~ん!どなたかいらっしゃいませんか~?」
「あの…池手名さん、受け付けは大丈夫です…多分」
「なぜだい?じゃあきみは、他人の家にチャイムも鳴らさず土足で上がりこむのかい?」
「いや、そんなことしないですけど…何て言えばいいのかな、心霊スポットって特に受け付はいらないルールというか…基本的に誰もいないですし、その…」
「キャー!!」
山本が説明に困っているとき、奥の方から悲鳴が聞こえた。
「ゆりこ!!」
反射的にみさきが声の方へ走り出した。声の主はゆりこのようだった。山本も後に続いた。
「おい!きみたち!受け付けを…」
「きゃー!!」
バタン!!
いぞうのうっとしい指摘を、今度はみさきの悲鳴と何かが倒れた音がかき消した。
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