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「雪翔」
那智に呼ばれ返事をすると、「お・ま・え・は!ちゃんと札を使うことを言ってから行けないのか!!!」と怒られ、「ごめんなさい!」と謝ると、なでなでと頭をぐしゃぐしゃにされ、「みんなを守りたい気持ちはわかるが、せめて一言言ってくれ。冬弥の子供であるお前からしたら、俺は叔父にあたるんだからな?」
「う、うん。でも、なんでわかったの?」
「これでも九尾だぞ?違う気くらい感じとれるし、雪翔の気は微力な時でももう感じ取れるからな……それより、これを見てくれ」
那智が見せてきたものは小さな針。
「これって……」
手に取ると、何かの術が使われたのがわかるのだが、それが何の術なのかまでは分からない。分からないが、背中がゾワッとする感じがしたので、破棄して欲しいと頼むものの、まだ冬弥が他の場所も探しているという。
「こんな小さなものよく見つけたね」
「俺が見つけたのは木の上。札らしきものは見つからなかったが、雪翔が針使ってるだろ?それでもしかしてと思ってな……」
「那智さん、これって、那智さん達の狐火みたいなので燃やせる?」
「やってみたが無理だった。御館様か冬弥しか無理だろう」
みんなで祖父の所まで持って行って説明をし、燃やせるのかどうか試してもらったが全くの無反応。
「これでは冬弥でも無理じゃな」
「あ……」
車椅子の至る所に画してある札の中から、『爆』の札を取り出して下に置き、その上に針を置いて念じると、針は跡形もなく消えたので、見つけたものは全部これで壊すからと言って、玲にも探しに行って貰うことにした。
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