集結

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もう、何が何だかわからない。 しかも、かなり強化していると言っていた結界にこうも妖のようなものが次々と現れるなんておかしすぎる。 「坊ちゃん、今日は四郎さんと俺で交代で見張りますから休んでください」 周太郎に言われるものの、あんな気持ち悪いものを見たらとても眠れそうにない。 薬は飲んだが眠気は吹っ飛び、落ち着くために暖かい飲み物でも飲もうとリビングに行くと、侑弥もグズグズとしていて、親狐に包まれてなんとか落ち着いていられるようだった。 「冬弥さん大丈夫かな?強いと言っても何があるかわからないし」 「雪翔、冬弥は大丈夫じゃ。それより夏樹。お主かなり見えておるのぅ?なぜ昇格試験を受けぬ?」 「受けようと思ってたんですけど、仕事が落ち着かなくて。あと一つ昇格すれば、父上の仕事関係を手伝えなくなりますし悩み中です。俺としては長男というのもあるけど、やはり跡継ぎなので南は離れにくいんですよ。昇格するとそれはそれで不便かと思いまして」 「じゃがのぅ、あやつも夏樹が昇格するのは嫌がっておらんよ。確かに過保護じゃが、夫婦でなんとかなっておるじゃろ?もっと自分のことを考えてもいいと思うがの?」 「ありがとうございます。でも、もう少し待ってください。多分、社狐と違うので、見え方もボヤっとわかる程度なんです。俺としてはもう少し実務ではなく現場で力をつけてから一気に上に……と。うちの父には内緒で」 考えて答えを出すのならいいと祖父も言っていて、あの変なのが気になっていたので、絵がついていた資料を読み直す。 「お爺ちゃん、ここ読んで」 騰虵(とうだ)。 羽が生えた蛇。炎に包まれている。火神。十二支:巳陰陽 :陰季節 :夏方角 :南東と書かれており、蛇と書いてあるがあれはどう見ても蜘蛛! 「この陰て言うのは?これも夏だから那智さんのところかな?」 「例えば蛇が沢山いたとして、それが窓にへばりついてたら、夜だし蜘蛛に見えたかもしれないけど、能力とかわからないな……」 「僕、こんなのばっかり増えるのは嫌だよ……」 とにかく土居に聞くしかないからとみんながもう休めと言うので、仕方なく布団に潜り込むが、色々と考えすぎてなかなか寝付けなかった。
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