南での三日間

35/39
前へ
/383ページ
次へ
「へぇ。東のこちらにはないのかな?」 「あるぞ?城に近い役所には必ずあるんだ。京弥の所にもあったはずだが、かなり増えたから親は喜んでる。働く人のために各地に作る計画も出てるくらいだが、仕組みがまだわかってなくて増やせないらしい」 「普通は?幸さんが家に居るから、小雪は行かないよね?」 「小雪だと三歳くらいから躾が始まると思うぞ?言葉とか食事の仕方とか」 「早いよー!ね、小雪もやだよねー?」 ん?とした顔をしたので、こちらの話はまだわからないかと、膝に乗せて遊んでいると、悲鳴に近い声で「夏樹様!!!」と幸が驚いている。 「夏樹でいいって」 「様?」 「あぁ、俺が南の跡継ぎだからそう呼ばれるんだけど、京弥とは兄弟みたいなものだし、普通に呼んでくれっていつも頼んでる」 「あ、そういう事か」 「すいません。ビックリしちゃって……今から小雪のおやつの時間なので持ってきたんですが、ちょっと待ってくださいね」 幸が使用人に何かを言ったらしく、水ようかんと冷たいお茶を出され、小雪には果物が入った寒天が小さく切ってお皿の上に乗っている。 「幸さん、僕あげてもいい?」 「ええ。凄く食べるの……無くなったらご馳走様って言うと諦めてくれるから」 「うん、わかった。小雪、おやつ食べよう」
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2543人が本棚に入れています
本棚に追加