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「へぇ。東のこちらにはないのかな?」
「あるぞ?城に近い役所には必ずあるんだ。京弥の所にもあったはずだが、かなり増えたから親は喜んでる。働く人のために各地に作る計画も出てるくらいだが、仕組みがまだわかってなくて増やせないらしい」
「普通は?幸さんが家に居るから、小雪は行かないよね?」
「小雪だと三歳くらいから躾が始まると思うぞ?言葉とか食事の仕方とか」
「早いよー!ね、小雪もやだよねー?」
ん?とした顔をしたので、こちらの話はまだわからないかと、膝に乗せて遊んでいると、悲鳴に近い声で「夏樹様!!!」と幸が驚いている。
「夏樹でいいって」
「様?」
「あぁ、俺が南の跡継ぎだからそう呼ばれるんだけど、京弥とは兄弟みたいなものだし、普通に呼んでくれっていつも頼んでる」
「あ、そういう事か」
「すいません。ビックリしちゃって……今から小雪のおやつの時間なので持ってきたんですが、ちょっと待ってくださいね」
幸が使用人に何かを言ったらしく、水ようかんと冷たいお茶を出され、小雪には果物が入った寒天が小さく切ってお皿の上に乗っている。
「幸さん、僕あげてもいい?」
「ええ。凄く食べるの……無くなったらご馳走様って言うと諦めてくれるから」
「うん、わかった。小雪、おやつ食べよう」
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