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本を見ていると、那智と航平が着いたと言うので待っていると、「那智、浮遊城では航平を借ります」とだけ冬弥が言うと、「分かった」とだけ返事が来る。
きっと那智にも話は伝わってるのだろう。
「航平ちゃん、この本何?全然読めないんだけど」
「それ、島のお爺さんの机の上にあって、メモに『雪翔』って書いてあったから大事なものなのかなって。中は見てないんだけど」
「ほら、見て?これなんの文字だろう?」
「エジプトの古代文字に似てるけど、ちょっと違うかな?俺にも読めない……」
「雪翔、また頭に流れてくるとかないのか?」
いつの間にか那智が覗き込んでおり、顎に手を当てて、どっかで見たことがあるんだが……と考えている。
車椅子で冬弥の横に行って見せると、「四郎がいりますねぇ。浮遊城に辞典とか色々あるので書庫に四郎と行ってみてください。もしかしたら分かるかもしれないですから」
「そうしてみる」
「あ、あの家広いので、航平の部屋も作りました。勿論那智と別部屋ですよ?」と意地悪な顔をして那智を見る。
「そこまで過保護じゃねーよ。俺の部屋は?」
「客間?」
「なんで航平だけあるんだよ!」
「まだ学生ですからねぇ。勉強部屋いるでしょう?叔父としても試験などには合格してもらいたいので作りました」
「ありがとうございます。これで勉強できる」
「なんだと?」
「だって邪魔するから!試験に合格しろとか言いながら用事と言っては呼びつけてくるの誰?在学中に試験受けて合格しておかないと、隆弘さんみたいに実習できないからね?」
「そうだった……それでも一年早くないか?」
「早くしろって言ったのは誰だったかなー?」
そう言いながらも、この荷物もと那智の分まで冬弥に渡しているので、親子関係は良好に見える。
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