浮遊城の水盆

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「夏樹さんは文官なんでしょ?この本手伝ってよ」 そう言いながら本を広げてみせると、ちょっと貸してくれと言ってパラパラと捲り、あれでもない、これでもないとブツブツ言っている。 「雪翔、兄貴を当てにするなよ?馬鹿だから」 「誰が馬鹿だ!なんか見た事あるんだよなぁ。何処でだったか思い出せないんだが……」 絶対に見た事があると言いながら、一部だけこちらの今の文字が使われている箇所があると言われてみんなでのぞき込む。 「むさ苦しい!」 「だって、気になるんだもん」 「俺も……」 「我々もです」 「だからって、那智、お前が一番近い!!!」 「お?おお、すまん。で、こっちの文字ってことは他のもこっちの文字なのか?見たことないが……」 「いや、色々と混ざってる。日本の文字になる前の文字。神代文字?いや、なんとか文字!あー、前に人間の世界のほら、沢山本の置いてある書庫のようなところで見たんだよ」
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