浮遊城の水盆

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三郎と周太郎が持ってきた石は、自分が思っていたよりも大きく、丸く円を書くように並べられ、真ん中に薪を細かくした物が敷き詰められる。 使用人も準備をしに来て、テーブルや椅子を出し、テーブルの上のお皿には、丸い南の魚の団子が三つ串に刺して何本も置いてあり、魚にも串が刺さっている。 「網では何を焼くの?」 那智に聞くと、野菜や肉も焼くとの事で、BBQみたいだねと言うと、「元々は煙の出るものや、匂いのある魚を焼くためのものだったらしいが、俺達も人間の世界は長いから、知ってるものは真似してこのような感じでやっている。とは言っても一部だが」 「でも、焼きそばとかは出来ないよね」 「そこまで本格的じゃない。兄貴達も日が暮れたら出てくるだろ」 「でも、こんなに庭が広いのに、広間の前でやっていいのかな?」 「冬弥の家だからいいんだろ?それよりも、お前達宿題は終わってるのか?」 「春休みはないんだって。僕、あった方が落ち着くのに」 「雪翔、そこは喜ぼうよ……」 「だって……新学期は抜き打ちみたいじゃん。長くいるなら取りに……「ダメですよ?」 「冬弥さん」 「毎日勉強してるでしょう?目を休めないと。それに、解読してください。夏樹さんは?」 「兄貴なら四郎と書庫だ。何かわかるかもしれない」 「流石夏樹さんですねぇ」 「おい……」 「那智は解読とかコツコツしたの苦手でしょう?こっちにいたとしても、文官にはなってなかったと思いますよ?」 「こっちにいたら、叔父上の下……京弥さんの補佐だろうな。優秀だから!」 「はいはい。栞さん、先に侑弥の焼いておきます?」 「そうですね。冷ますのにも時間がかかるので」 「雪翔、航平、手伝ってください。初めてでしょう?」
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