浮遊城の水盆

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そんなことを言われると回したくて仕方が無いのだが、火と網の位置が離れているとはいえ、やはり薄切りの野菜やおにぎりは焦げやすい。 航平と二人で焼いた後に、魚を解している冬弥にもう焼きたい!とお願いをして、みんなに出てきてもらってBBQが始まる。 「お爺ちゃん、鶏肉もあるよ?食べる?」 「なんじゃ、まだ焼いておらんのか?」 「さっき来たんだもん」 「あ、串に刺さっておるのぅ。ならば炙り焼きが一番美味い。雪翔よ、塩はあるかの?」 「うん」 塩を渡すと、何本かの串に、塩をパラパラとかけて石の間に刺してじっくりと焼くという。 「こうすると、皮がパリッとして香ばしくてのぅ。狩りなどて直ぐに食べる時にもこの方法は使われるんじゃ。直に火にかけると中まで火が通らずに、しかも硬くなるでのぅ」 「だから塩なの?」 「タレもあるが、それならば素焼きにした後にタレをつけて二度焼きすると良いのぅ。婆さん、タレを作ってくれんか」 「出来てますよ!ほら、そこの机の上に……」
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