浮遊城の水盆

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祖父が鶏肉を焼いてくれている間に、やっと夏樹達が戻ってきたので、お皿とお箸を渡し、何かわかったことがあるかと聞くと、「やはり人間の大きな書庫で見た辞典と良く似たものに載っていた」と言い、広間に辞書を置いてきたので後で見ようという事になったが、こんなに早く見つかるとは思っていなかったので皆が夏樹を褒める中、よく見ると那智がふくれっ面をしながら航平に食えと焼けたものをどんどんと置いていくので、航平から文句が出まくっている。 「お爺ちゃん、小太郎君とか花ちゃんとか出てこれないの?」 「出してもいいがどうかしたのか?」 「だって、見てあれ……」 可哀想になるほどに山積みにされたお皿を持ちながら、「こんなに食べれない」と那智に文句を言う航平を見ると、なるほどなと言って、小太郎を始め、祖母の花ちゃんや紫狐、那智に頼んで煌輝も出してもらう。 「みんなで航平ちゃんのお皿から貰ってくれる?那智さんが沢山のせちゃうから!」 そう言うと、みんなで航平の周りをお皿をもって囲み、見ていると保父さんに群がる幼稚園児のようにも見え、それがまた似合ってあるのでつい「僕もー」と参加してしまう。
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