集結

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集結

しばらくは何事もなく日だけが過ぎていき、春休み中だったものも下宿にポツポツと帰ってき始めた。 「もうここもあと1週間ほどで開けないといけませんから、食堂は夜のみですねぇ。今年は新しい子は入りませんけど、こんなに大勢揃ってるのを見られるのはちょっと……」 「でも、家じゃ狭いよ?」 「それなんですけど、やはり手分けしませんか?航平のもの探しの力も増してますし、それは那智の家で、那智と航平の他に、三郎・重次・夏樹さんが居れば良いでしょう。こちらには、うちの両親もいますから、周太郎と、解読になれた四郎がいればいいかと思うんですけど」 「那智の家じゃまともに飯が食えん!」 「航平が作る」 「やっぱり俺なのかよ!」 「坊ちゃん、私も手伝いますので……」 そんなやり取りを聞きながらも、翡翠の言っていた祠にいつ行くのかも気になる。 「あ!土居さんには引き続き夕餉の支度を手伝ってもらいながら、料理覚えてもらいますから!」 これはきっと冬弥の意地だろう。 「僕、何してたらいい?本はある程度読んだけど」 「昼に土居さんに色々と教えて貰ってください。その時に出かけるのならば、四郎と周太郎を必ず連れていってくださいね」 話が進むのは良いのだが、相変わらず祖父母は呑気に侑弥と遊んでる方が多いし、いっその事こちらに住めばいいのにとさえ最近は思ってしまう。 その日の夜はいつも通りにみんなで雑魚寝をしようと布団を敷いていたのだが、胸のあたりがものすごくざわつくのでカーテンを開ける。 「うぎゃぁぁぁぁ!」 つかまって立っていたので尻もちを着いた先は布団の上だったので怪我はないが、どうした?と言う夏樹の声に、「あ、あ、アレ!」と窓を指さすしか出来なかった。 直ぐに冬弥達も部屋に来たが、まともに見えるのは祖父と冬弥だけで、夏樹も少し見えているだけでほかの人には見えていないという。 「だって、蜘蛛みたいなのが窓にへばりついてて……こっち見て笑ってた……」 「私も見えましたが一瞬でしたし、怪我がなくて良かったです。夏樹さん、父上、雪翔達のこと頼みます。私は結界を見るついでに他の社も回ってきますので」
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