あの夏

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「カナター?」 なぜか全裸のまま、頭にパンツを被っているもう一人と目が合う前に、脱衣所のドアを閉めた。 一抹の不安を抱えたまま、低学年男子の部屋に向かう。 ギャーともグゲェーともわからない高い声が響く。多分聞こえないと思いながら、とりあえずノックした。 反応はない。 仕方がないのでドアを開けて・・閉めた。 8人いる。 部屋はもうひとつあるのに全員が集まっている。 廊下で深呼吸をしてもう一度ドアを開けた。 部屋の中をすっぱだかの5歳と6歳の8人の男子が走り回っている。 「カナター!!」 もうすっかりお友達だ。 後ろ手にドアを閉めて入って行くと、子どもたちが素っ裸のままなんらかんらと、それぞれに話しかけてくる。 「わかったから、聞くから、まずパンツはいて!」 1人が離れて行くと、次の素っ裸が海で拾った貝殻を見せにくる。 「これ、おかあさんのおみやげ!」 「それは喜ぶわ。だからパンツ履こう!」 彼が離れると、押入れから呼んでいる。 『カナター!オレここで寝るねん!』 『オレもー!』 開け放たれた押入れからは、敷布団とシーツが引きずり出されている。中には数人の裸族。     
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