あの夏

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黙って押入れの戸を閉めたら、大騒ぎして中から自分たちで開けた。すかさず押入れの前に仁王立ちして 「パンツをはけー!!」 私が裸族に女子大生としてあられもない「パンツを履け!」コールを続けているのに、低学年チームの男子リーダーの匠は、部屋の隅で脱力してる。 その後も部屋の中には、私の 「パンツはいてー!!」 という叫びが響きわたっていた。 「パンツ履かな、ご飯食べられへんでー!」 というとどめの叫びを響かせるまで。 ようやくパンツを履いた8人を食堂に連れて行くと、既に4歳児と女子は食堂にいた。 とりあえず、空腹のために服を着た裸族をテーブルに座らせる。 「パンツ」という言葉をこれほど連呼したのは、生まれて初めてだと思う。このボランティアに来ていなければできなかった経験のひとつだと思うと、ちょっとおもしろかった。 一番後からついて来たリーダー匠は、魂が抜かれたように青い顔をしている。 匠も一緒に叫ばせてあげれば、少しはすっきりしたのかもしれない。 明日は匠にも叫んでもらおう。 「パンツを履け!」って。
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