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雲のカタチが変わったら、すぐに夏休みが来る。 校門の前で「気をつけて、また明日」と繰り返しながら、そんなことを考えていた。 低学年の子供たちが帰宅する時間。来年からはクラス担任を持つ。登下校の校門立ちんぼは、今年で終わるはず。 「おはよう!」から始まって「また明日!」って終わる一日は、なかなか素敵な日常だった。 「アオキせんせい!」 そんな声で振り返った。副担任をしているクラスのオマセ女子。 「藤本さん、西田さん、さようなら。朝顔持って帰るの?」 二人は顔を見合わせてクスクスと笑う。 「あしたは、えのぐとケンバンもってかえるの」 「そっか、計画的だね」 そんな私たちの後ろを 「せんせい!バイバーイ!」 水筒を振り回しながら、数人の男子たちが帰っていく。 「はい、また明日」 そちらを見て手を振った。 「ほんと男子ってバカ。あした、ぜんぶもってかえるのかしら。計画性がないわあ」 オマセ女子達の言葉に少し笑った。ほんとに同い年でも男子はちょっと幼い。 「計画性なんて難しい言葉知ってるね」 笑いながら言った言葉に、彼女の顔がパーっと明るくなる。 そうだ、こんな瞳の光。子供は本心で褒められると、こんな瞳の光を放つ。 誰だって人生のターニングポイントがある。 それがなんだったのかなんて、わからない人もいるのかもしれない。 私はわかっている。 まちがいなく、あの夏。 彼らとの出逢い。 あの出逢いで私は、真っ直ぐに教師になる道を目指した。
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