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なにも見えない。
すぐ隣にいるトラちゃんの強面さえ判然としない。驚きすぎて固唾ごと飴玉を飲みこんでしまったじゃないか。
「こりゃあ停電だな」
「トラちゃん、あんまり驚いてないね」
「そんなことないぞ。目が慣れるまで待つしかねえな」
夜の頂には月がうっすらと雲を透して浮かんでいる。星と月の明かりが頼もしく感じるなんて初めての体験だ……。
とにかく非常事態である。最寄りのコンビニまで小走りに向かうことにした。この時間帯なら姉上の友達がバイト中のはずだ。
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