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 そして、喉元から、腹部まで、切り開いていく。可能な限り、内臓は傷つけないようにしなければならない。胃や腸の内容物が外に溢れると、独特の臭気が発生する。それは、まずかった。  腹部まで難なく切り開いた後、中に手を突っ込み、内臓を掻き出す。すると、驚くほど簡単に内臓は外へと取り出せた。薄ピンク色をしたこれらの内臓は、ただ単に、肉の袋の中に収めてあっただけだとわかる。生き物は、いかようにも単純な造りをしているのだ。腹を割かれただけで、腸が飛び出すのも得心がいく。  ただ、肛門と食道は繋がっているので、切り離す必要があったが。  取り出した内臓類は、下に置いてある金ダライの中に入れた。思ったより内臓そのものの臭いはなく、辟易する心配は無用だった。  ぽっかりと腹が切り開かれた『それ』を前に、篤彦は、しばし考える。  皮を剥ぎたいが、先に解体した方がいいのだろうか。それとも剥ぐのが先か。  少し考え、皮を剥ぐことにした。やはり、ワンシークエンスごと、しっかりと作業を行わなければならない。  篤彦は、骨スキナイフを置き、新たに刃物を手に取った。  その刃物は、先端がマシェトのように湾曲した刃物だった。ドイツにある刃物メーカーの老舗、ゾーリンゲン社の皮剥ぎ用ナイフであり、刃は炭素鋼で造られている。粘りの強さと、非常に鋭い切れ味を誇っている、優れた一品だった。     
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