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僕と友人はその話に乗った。
もうひとり、ユカが空港でスカウトしていたミノリという女の子も含め、四人で僕達はバンコクの街を周遊した。
どこへ行ったのか今では記憶が曖昧だけれど、バックパッカーの聖地と呼ばれるカオサン通りへ行ったのを覚えている。
ユカは銀製品を安く買いたかったらしく、計算機片手に言葉が通じない相手と必死に値段交渉をしていた。
途中、熱帯地域特有のスコールがあり、僕たちは近くのマクドナルドに避難した。
そのとき、僕たちはメールアドレスを交換した。
当時はまだ携帯も普及していない時代で、教えてもらったのは、パソコンのメールアドレスだった。しかも、彼女たちは大学生だったので、学校から与えられていたメールアドレスだった。
その後、ドイツのミュンヘンにたどり着き、そこで僕たちは別れた。
帰国後、一、二度、形式的なメールのやりとりをしたのを覚えている。
当時はデジカメもまだ普及していなくて、使い捨てカメラを使っているような時代だった。
だから、僕は帰国後、彼女たちの写真を撮っていなかったことに気づき、もったいないことをしたかなと思った。
だけど、それは美しい思い出として終わった話だった。
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