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僕にとって、そのとき「マイ・ラヴ」だったのはユカだったのかもしれない。
偶然の出会いが重なったことに舞い上がっていたのだ。
彼女にとってどうだったかは、もちろんわからない。
ユカとはそれから1,2回会ったけれど、遠距離だったのと、彼女と僕の休みが合わないこともあり、徐々に疎遠になっていった。
そして、ある日、僕がユカにメールを送ろうとしたとき、ユカのアドレスは変わっていた。
そのとき、僕は悟った。ユカにもきっと「マイ・ラヴ」ができたのだなと。
時は移り、2013年、ポール・マッカートニーが久々に来日した。
僕は再びチケットを取り、コンサートに参加した。
しかし、最愛の奥さんであるリンダを亡くしたポールは、もう「マイ・ラヴ」を歌わなかった。
これからもきっと歌われることはないだろう。
今でも街のどこかで「マイ・ラヴ」のメロディを聴くと僕はユカのことを思い出す。
彼女もどこかでポールが来日したというニュースを聞いて、僕のことを思い出してくれているのだろうか。
彼女は忘れているかもしれないが、僕はあの日のふたりだけの記憶を一生忘れることがないだろう。
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