9章 TRUTH

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ドクン………… 「っ!…………」 「やっぱり、『勇者の血』が体質に合わなかったのかしら……………」 「大丈夫だ、『体質に合わない』んじゃなくて身体を作り替えてるだけだから」 ゴキッ…………メキメキ………… 「ぐぅぅ……………」 「大丈夫?」 「大ジョウ夫…………だカら、今ハ…………ソッと……………」 ゴキッ!! 「うグっ!!!…………ガぁぁぁ!!!!!!」 ガキッ!!……… 「痛っ!」 「クレーズ!?…………」 「…………大丈夫よ、このぐらい、大した事無いわ」 「さっき、『痛っ』て、言ったじゃないか」 「それは、反射的に口を出ただけよ」 (あれ?…………左腕、(すじ)が切れたかな?…………肘から先が動かない……………) 「グルル……………ガウゥ………」 「大丈夫、落ち着いて……………怖くない、怖くない」 クレーズは、どうにかして宥めようとしている 「クレーズ、アリッサへの処断(ばっそく)はどうする?」 「そうね…………じゃあ、噛まれて動かなくなった左腕を『綺麗に』治してくださいな」 「?………………それだけで良いのか?」 「良いの、今、私の左腕は文字通り、『皮だけで繋がってる状態』なんだもの、一般の医者なら、速攻で匙をぶん投げる様な酷い状態だよ?…………それを、医者ですらない素人に、『綺麗に治せ』って言ってるんだから、罰則としては、十分に厳しい物だと思うけど?」 「クレーズ?…………」 「それにね、先代とはいえ、『魔王』が、『人間(ゆうしゃ)の小娘』に『処置(ちりょう)』を施すっていうのが、どれだけの屈辱かは解っているつもりよ」 「……………」 先代の魔王は、『気功の力』に『水と光の魔力』を混ぜ、治療に当たった………… 「…………どうだろう、まだ変調は有るだろうか」 …………… ………… ……… 「……………もう、大丈夫そうよ、ありがとう」 「そうか、良かった……しかし、さっきの曲難しくなかったか?……我輩も、嗜み程度にはピアノはするが、譜面を見てもさっぱり分からんのだが」 「まぁ、今、弾いてた『超絶技巧練習曲(ラ・カンパネラ)』は、『練習曲(エチュード)』の中でも、特に難しい奴だからね」 「リハビリで、『超絶技巧練習曲』って…………無茶苦茶やるなぁ…………しかも、元の曲より速くなかったか?」 「BPM150くらいなら、まだ、何とか出来ますわ、流石に『大練習曲第6番(しゅだいとへんそう)』をBPM160は、最後がアレだから、上手には出来ないんですけどね」 「うわ、えげつない楽譜(スコア)だな…………これ…………うちの『竜人楽団(ドラコニアム)』の面々も匙をぶん投げそう…………」 「流石に、それは無いと思うわ……………」
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