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ドクン…………
「っ!…………」
「やっぱり、『勇者の血』が体質に合わなかったのかしら……………」
「大丈夫だ、『体質に合わない』んじゃなくて身体を作り替えてるだけだから」
ゴキッ…………メキメキ…………
「ぐぅぅ……………」
「大丈夫?」
「大ジョウ夫…………だカら、今ハ…………ソッと……………」
ゴキッ!!
「うグっ!!!…………ガぁぁぁ!!!!!!」
ガキッ!!………
「痛っ!」
「クレーズ!?…………」
「…………大丈夫よ、このぐらい、大した事無いわ」
「さっき、『痛っ』て、言ったじゃないか」
「それは、反射的に口を出ただけよ」
(あれ?…………左腕、腱が切れたかな?…………肘から先が動かない……………)
「グルル……………ガウゥ………」
「大丈夫、落ち着いて……………怖くない、怖くない」
クレーズは、どうにかして宥めようとしている
「クレーズ、アリッサへの処断はどうする?」
「そうね…………じゃあ、噛まれて動かなくなった左腕を『綺麗に』治してくださいな」
「?………………それだけで良いのか?」
「良いの、今、私の左腕は文字通り、『皮だけで繋がってる状態』なんだもの、一般の医者なら、速攻で匙をぶん投げる様な酷い状態だよ?…………それを、医者ですらない素人に、『綺麗に治せ』って言ってるんだから、罰則としては、十分に厳しい物だと思うけど?」
「クレーズ?…………」
「それにね、先代とはいえ、『魔王』が、『人間の小娘』に『処置』を施すっていうのが、どれだけの屈辱かは解っているつもりよ」
「……………」
先代の魔王は、『気功の力』に『水と光の魔力』を混ぜ、治療に当たった…………
「…………どうだろう、まだ変調は有るだろうか」
……………
…………
………
「……………もう、大丈夫そうよ、ありがとう」
「そうか、良かった……しかし、さっきの曲難しくなかったか?……我輩も、嗜み程度にはピアノはするが、譜面を見てもさっぱり分からんのだが」
「まぁ、今、弾いてた『超絶技巧練習曲』は、『練習曲』の中でも、特に難しい奴だからね」
「リハビリで、『超絶技巧練習曲』って…………無茶苦茶やるなぁ…………しかも、元の曲より速くなかったか?」
「BPM150くらいなら、まだ、何とか出来ますわ、流石に『大練習曲第6番』をBPM160は、最後がアレだから、上手には出来ないんですけどね」
「うわ、えげつない楽譜だな…………これ…………うちの『竜人楽団』の面々も匙をぶん投げそう…………」
「流石に、それは無いと思うわ……………」
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