北上航路.2

10/14
前へ
/22ページ
次へ
大きく揺れる船体 海水に流されまいと船体に捕まる船長と船員、俺達も扉や手すりにつかまる フライで浮上したカール王子、流されていないが海水をもろにかぶっている 上空からカール王子に両手を合わせて謝罪する魔術師の姿が見える 赤いドレスの女の口元に笑みが生まれる 「これほど魔力を持ったものが沢山来てくださった」 「今日は何と良き日でしょうか」 「あの御方もお喜びになりましょう」 「贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ贄よ…」 恍惚の表情を浮かべながら闇を吐き、呪詞を唱える ”暗き暗き闇の深き深き淵より現れし、顕現される御身の姿を漆黒の闇が包み纏う” ”血の如き深紅に輝く双眸を打ち開き、数多の魂の灯を呑込む万物の王たるその姿” 周囲に禍々しい闇が生まれる、闇が質量を持ち何かを形作る 俺の前で盾を構えるミリアちゃんが一瞬ビクっとなる アイリちゃんは俺を守りながらも震えている これはヤバいヤツである 近づけないし、近づきたくない 「前に出ないでね」 ミリアちゃんとアイリちゃんに言い聞かせる 「はい」 「はい」 2人が素直に聞いてくれる 「ところでアレは何?悪魔っているの?」     
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加