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あのあと、僕は赤羽の手伝いをすることにした。赤羽は調理担当で、僕は大したことない調理補助だと思っていたんだけど……。
「主人公。お前、料理得意だろ」
全ては彼女のこの言葉が発端だ。無邪気に「まかない作れよ。あの時の焼きそば、最高だったからさ」と頼んでくるのを断れなかった。
『カラフルパレット』の主人公は料理が得意だけど、僕は料理をしたことがない。
それでも、何とか頭を使いながら焼きそばを作った。見た目はそれなりに様になっていたと思う。
「おっ、うまそうだな」
赤羽もそう言って「いただきまーす」と食べ始めた。
「主人公くん、料理作れるんだ。凄いね」
「主人公ちゃんの手料理だー。わーい」
接客担当の碧生と菜黄も来て、焼きそばを食べ出した。
そして、全員倒れた。
――もしかして、僕もバグだったのだろうか。
そんなことを思いながら真っ黒な空を眺める。
「どうしたの? シュジンコウ」
そこにバグ女がやってきた。今度はりんご飴を持っている。
お前もその名前で呼ぶのか。
僕はバグ女に食って掛かろうとした、そのとき、ドンッ! というが辺り響いた。
僕は驚いて、また空を見る。
な、なんなんだ、この花火……。黒い背景にインクを撒き散らしただけのような……。
そういえば、『カラフルパレット』のスチルの花火は酷かったって話を見たことあるような、ないような。
「帰りたい……」
思わず、僕がそうごちると、急に辺りが涼しくなった。
クーラーの風だ。目を開けると、天井が見えた。
なんだ、今までのことは夢だったのか……。ゲームしながら寝たのか……?
そう思いながら、起き上がってPCの画面を見る。
僕と同じように画面が真っ青になっていた。
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