攻略対象かもしれない旅人

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 でも、この会社、これの次に出したのは確か魔法学校ものだった。これは露骨な宣伝要員かもしれない。  とりあえず、ここでセーブしてスルーしとくか。  あれ、フリーズしてる……?  セーブが出来ない。  僕は小さくため息を吐く。古いゲームだからな。仕方ない。  変に電源を切るのはまずいから、しばらく待つか。 「こういうとき、現実だったらな……」  現実世界にはフリーズがない。ゲームが現実だったら、セーブできない代わりにさっさと海の家の中に入れる。  僕は大きくため息を吐いた。 『君、変わっているね! 目がないなんて』  唐突に声がPCから聞こえてきた。画面にはあの魔女っ娘が瞬きしている。  電波キャラ? メタキャラ?  それより、このゲームって見せ場以外はボイスなんてないんじゃ……。 『あっ、君の目って別世界に繋がっているんだ』  その声のあと、画面から手が伸びてくる。いや、生えてきた……?  これ、マジもんのホラーゲームだったのか……。  そんなことを思っている間に僕は腕を掴まれて、PCの中に引きずり込まれた。 「主人公!」 「主人公くん!」 「よかったー……」  目を開けるとカラフルな髪の女の子たちに囲まれていた。  誰!? 主人公くんって何!? 「主人公くん、倒れたんだよ?」  僕がぽかんとしていると、空色のショートヘアの子がそう声を掛ける。  この子、見たことがある……。というか、全員見たことがある……。 「あ、あおい!」  思い出して、僕は空色の髪の少女を名前を呼んだ。 「なぎ! あかば!」  そのあと、金髪の編み込みのボブヘアと赤髪のポニーテールを順番に指差す。  この子たちは『カラフルパレット』のヒロインだ! 「主人公くん、いきなりどうしたの?」 「倒れたとき、頭の変なとこでも打ったのか? 主人公」 「主人公ちゃん、びっくりするなー。もう」  碧生は極々普通の少女で、赤羽は設定の割りにちょっと荒い性格で、菜黄は一番小さくて語尾を伸ばす喋り方をする幼い先輩だ。  それで、あのゲームはデフォルト名がなかったから、テキトーに『主人公』って付けたんだった。――今、凄い後悔してる。 「た、倒れたって?」  とりあえず、今は状況把握だ。
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