王と犬

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とあるお城に王子が住んでいた。 王子は犬が好きで好きでたまらなかった。 しかし、犬の命も永遠ではなく、時がくると死んでしまいます。 その度に王子は悲しくて毎日のように泣きました。 その姿を見て、かわいそうに思った王子のお父さんが王子を助けてくれるように神様にお祈りをしました。 すると、次の日王子の目の前に神様が現れて言いました 「王子よ、もう一度だけ犬を生き返らせてやるからもう泣かないでおくれ」 そう言われた王子は、泣き止み 「本当に?」 と神様に言いました。 神様は、 「本当だとも」 と言い杖を一振りしました、するとたちまちまばゆい光が差し込み、王子は思わず目をつぶってしまいました。 目を開けると、死んだはずの犬が生き返っていました。 王子は犬と抱き合い、喜んで踊り回りました。 「そのかわりもう2度と泣いてはいけないよ、次泣いてしまったらその犬は消えて無 いなくなってしまうからね」 と神様は言いました。 すると王子は 「もう絶対泣かないよ、だってこの犬と一緒にいられるんだもん」 と言いました。 それから何日か経った日のこと、王子は悪さをし、お母さんにこっぴどく叱られ、お母さんからお仕置きとしておしりを叩かれました。何発も何発も叩かれ、いつもの王子ならすぐに泣いてしまうお仕置きです。 しかし、どんなに痛くても王子は約束を守り、泣きませんでした。 王子は毎日のように犬と遊び、楽しく過ごしました。そして王子は、この犬と一緒なら何も悲しいことはないと思っていました。 そんなある日、王子のお父さんは、城の階段で足を踏み外してしまい、死んでしまいました。 その次の日お葬式が挙げられ、王子のお父さんにお世話になった人たちが集まり、みんなで泣きましたが、王子は涙をぐっとこらえ、泣きませんでした。 しかし、最後にお父さんの顔を見た時に、いろいろな事を思い出し、 「お父さん・・・」 と言い涙を一滴垂らしてしまいました。 その涙が一滴地面に落ちた瞬間に、まばゆい光が差し込み、目の前に神様が現れました。 「王子よ、あなたは泣いてしまったね。でももし、お葬式の時に泣かなかったら、私はその犬を消してしまうところだったよ」 そう言われた王子は、お城に響くような大声で泣きました。泣いて泣いて、泣いても、また泣いて泣き続けました。 ~おわり~
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