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未来を見る力
私は高橋理紗、17歳の女子高生。
海の見える街に住んでいる。
私は特殊な能力が持っていた。未来を見る力だ。
ただし、未来と言ってもほんの5秒先の事だけど、不意に5秒後の事が頭の中に浮かんで来て、それが必ず現実となるんだ。
私には幼馴染の男の子が居る。恋人?
うーん、友達以上恋人未満という関係かな。
特に、この幼馴染、小山内倫太郎の未来がよく見える。例えば・・
英語授業中、前の席の倫太郎の背中を叩く。
こいつまた寝ている。
倫太郎がハッと身体を起こす。
直ぐに英語の川内先生が声をかける。
「それでは小山内君。P17の最初から5行目まで読み上げて!」
ほら予想通り、先生に当てられた・・
「はい、I have a dream that one day this nation will rise up ・・」
倫太郎は小学校時代アメリカに住んでいて、英語の発音はネィティブ並だ・・
彼は読み上げると着席し、後ろを振り返ると
「サンキュー」と言った。
私は意地悪そうな顔をして睨んでやった。
この5秒後を予知する力が、どうして与えられたのか? 私にも分からない。
ただ、ほんの5秒先を知る事によるメリットは、大した事なくて。例えば・・
・廊下の曲がり角の先で女子とぶつかる。
倫太郎を横に押す
・野球部のファールボールが倫太郎に当たる。
倫太郎を前に押す
なんて感じ。
でも倫太郎は私が助けているのに全く気づいていない。それどころか、
「理紗、お前よくぶつかって来るよな。そんなに俺を触りたいの・・?」
私は、顔を押さえて大きく首を振る。
(こいつ私が助けているの分かってないし)
(それに、あんただって、よく私の手や服を掴んで引っ張ったりするじゃない。あれ、結構気に入らないんだからね・・)
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