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「あ、怒った?」
「怒ってないです」
「怒ってるじゃん!!ちょっと!」
「怒ってないです」
「コウキくん、ちょっ…歩くの早いよ…!」
センセイのバーカ!!
「ちゃんと昼飯おごらさせてもらいますよ」
「なんでコウキくんがおごるの!?」
「いいから!!レストラン街ってこっちですかね?」
「そこの専門店街を抜けたところだよね?っ!あ!!」
「あっ!!」
さっきのショップの前で、2人とも立ち止まる。
マネキンが……裸だ。
「売れちゃっ…た…?」
「いや、もしかしたら…ちょっと店員さんに…」
俺がお店の中に入って行こうとすると、センセイは俺の腕を取って引き止めた。
「いいの!縁がなかったってことだもん。行こ?」
いや、明らかにヘコみながら言われても…。
俺は掴んでいるセンセイの手を取って、一緒に奥に入って行く。やっぱり温かくて柔らかいな…。
「コ…コウキく…」
「あ、いた。センセイちょっと待ってて」
センセイを残し、カウンター横で服をたたんでいた店員さんに話しかけた。遠くから、バツが悪そうな顔でこっちを見ているセンセイに、店員さんが奥から持ち出してくれたソレを見せた。
「最後の1枚だそうです。良かったですね!」
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