16.奇跡の一日

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「あ、怒った?」 「怒ってないです」 「怒ってるじゃん!!ちょっと!」 「怒ってないです」 「コウキくん、ちょっ…歩くの早いよ…!」 センセイのバーカ!! 「ちゃんと昼飯おごらさせてもらいますよ」 「なんでコウキくんがおごるの!?」 「いいから!!レストラン街ってこっちですかね?」 「そこの専門店街を抜けたところだよね?っ!あ!!」 「あっ!!」 さっきのショップの前で、2人とも立ち止まる。 マネキンが……裸だ。 「売れちゃっ…た…?」 「いや、もしかしたら…ちょっと店員さんに…」 俺がお店の中に入って行こうとすると、センセイは俺の腕を取って引き止めた。 「いいの!縁がなかったってことだもん。行こ?」 いや、明らかにヘコみながら言われても…。 俺は掴んでいるセンセイの手を取って、一緒に奥に入って行く。やっぱり温かくて柔らかいな…。 「コ…コウキく…」 「あ、いた。センセイちょっと待ってて」 センセイを残し、カウンター横で服をたたんでいた店員さんに話しかけた。遠くから、バツが悪そうな顔でこっちを見ているセンセイに、店員さんが奥から持ち出してくれたソレを見せた。 「最後の1枚だそうです。良かったですね!」
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