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目の前には、明かりがチラホラつき始め、遠くに見える海では、夕日の中を船が港に帰って行く。
風は穏やかで涼しかった。夏の終わりが近づいているんだろうな…。
「お見合いって…あのお見合い?」
「うん。今度の土曜日にね」
「な…なんか話が急で…」
「あはは。実はさ、長岡先生とのことが、親の耳に入ってね。参ったよ…。昨日、写真とかバタバタ撮りに行かされて…」
昨日の予定って、そのことか…。
「それでさ、コウキくんにもそのことで迷惑かけちゃったから、一応話しておこうって思ってね」
「センセイのお見合いと、俺のしたことはあまり関係ないように思えますけど…」
「と、とにかくね、そういうことなの。全部親が決めちゃって、もう会うしかなくなっちゃった」
「それで、もうこんな風に会えないって?でもまだ上手く行くって決まったわけじゃないんでしょ?」
「もちろん、お互い気に入らなかったらそこで断ることできるよ?でも…」
……嫌な予感がする。
「センセイのことを、気に入らない人なんてこの世に居ませんよ。いたらブン殴る」
「あはは…。なんかごめんね。こんな話、わざわざここでするようなことじゃないよね?」
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