16.奇跡の一日

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目の前には、明かりがチラホラつき始め、遠くに見える海では、夕日の中を船が港に帰って行く。 風は穏やかで涼しかった。夏の終わりが近づいているんだろうな…。 「お見合いって…あのお見合い?」 「うん。今度の土曜日にね」 「な…なんか話が急で…」 「あはは。実はさ、長岡先生とのことが、親の耳に入ってね。参ったよ…。昨日、写真とかバタバタ撮りに行かされて…」 昨日の予定って、そのことか…。 「それでさ、コウキくんにもそのことで迷惑かけちゃったから、一応話しておこうって思ってね」 「センセイのお見合いと、俺のしたことはあまり関係ないように思えますけど…」 「と、とにかくね、そういうことなの。全部親が決めちゃって、もう会うしかなくなっちゃった」 「それで、もうこんな風に会えないって?でもまだ上手く行くって決まったわけじゃないんでしょ?」 「もちろん、お互い気に入らなかったらそこで断ることできるよ?でも…」 ……嫌な予感がする。 「センセイのことを、気に入らない人なんてこの世に居ませんよ。いたらブン殴る」 「あはは…。なんかごめんね。こんな話、わざわざここでするようなことじゃないよね?」
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