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「うまく…行くんだろね」
「なんすかソレ。もう決定すか?」
たぶん、センセイは自分でも気づいているんだ。
きっと、流されてしまうことを。
俺の嫌な予感が当たっている、ということを。
「もちろん、私にも決める権利はある。そうだよね?」
センセイは、確かめるように、自分に言い聞かせるように言う。
「当たり前ですよ。大丈夫です。さっき言った通り、センセイが断られることはまずないですから。全部、センセイ次第ですよ!」
"断れ"
「うん。ありがと。よし!」
センセイは立ち上がって、手すりに手をかけた。
もう、これで最後…。
言えよ。俺。
「やっぱりここ好きだな。でもなんだろう。コウキくんがいると、また違って見えるね」
やめろよ…。そんな思わせぶりなことを言わないでくれ…。
「はは…。何も変わんないすよ」
言えよ!俺!!
「ううん。話、聞いてくれてありがとう。もし、お見合いがダメになったら、また来ようか」
"俺はセンセイのことが…"
「また、スキを見せすぎないように、気をつけてくださいね」
言え!!
「あはは!そうだね。ちゃんと話をしてくる」
「はい。あ、センセイ?」
「うん?何?」
"好きです"
「頑張ってください」
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