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センパイが指をさした方向には…
長岡と南センセイが歩いていた。
そしてそのまま1つのホテルに入っていく…。
「ね?言った通りじゃん!花火でムード良くなってそのままホテルの王道コースね」
「センセイ…まじかよ…」
何故か足が震えだした。俺は力を込めて手を握り締める…。
「うーーん少年にはちょーーっとツラい光景かな?よし!私たちも入ろう!」
「………」
「ん?少年?」
センパイの言葉には何も返さず、黙って回れ右。そのまま駅の方へ戻ろうとした。
「ちょっと!少年!?」
震える足をなんとか動かしていた。
なんでこんなにイラつく?俺に関係ないじゃないか。センセイが誰とそういうことになっても…。
「少年!!」
何も見てない。そうしよう。
「少年ってば!」
センパイが袖を引っ張ってきた。
「うるさいっす。帰るっすよ…。タクシー代、俺が出しますから…」
「なんか様子が変だよ!南先生だけ出てきたの!」
「え?」
振り返ると、慌てた様子のセンセイがこっちに向かって来ている。
少し小走りになってる?
「おや~?これはいざ入ったら理性が勝っちゃったパターンかな!?」
センパイと2人して路地に隠れてその様子を見ていた。
あ、長岡も出てきた。それも物凄い勢いだ。
「あ、ちょっとあれ、なんかまずくない?」
慌ててセンセイに追いついた長岡は、何やら叫んでいる。やがて言い争う声がこっちまで聞こえてきた。
『そんなつもりじゃなかったんです。今日はもう帰ります!ごめんなさい!』
『大丈夫だから!少し疲れたから休んで行くだけだよ!ね?少しだけだから!』
そう言ってセンセイの腕を掴むハゲおやじ。
「うわ~ベタなセリフでホテルに連れ込もうとしてるぅ…。あれ止めなくて大丈夫かな?」
「………」
「ね?少年??って何してるの?」
俺はスマホをポケットにしまった。
もう限界だ。あのくそ野郎。
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