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「痛い!!放してください!」
センセイを強引に引っ張る糞ハゲおやじ。
もう少し…。
「ここまで来ておいてそれはないよ夏帆ちゃん!ね?優しくするから…」
黙れ。
「やめて!!」
「最初からそのつもりだったんだろ!?いいから大人しく…」
死ね。
「少年!!!」「ん?へぶしっ!!」
思いっきり殴り飛ばした。
ダメだ足りねぇ。完全にキレた。追い打ちで腹を思いっきり蹴る。
「うっ!!」
ゲス糞ハゲ野郎はホテルの前でのびている。
センセイは何が起こったかわからない様子で、キョトンとしていた。
「行きましょう、センセ」
その手を取って駅の方へ歩きだした。
「え…?ま…前川くん?」
ちょうどタクシーを見つけた。いいタイミングだ。俺は手を挙げて停めた。
「センセ、ちゃんと家の住所言えます?」
「え…うん…あ…はい」
「じゃあこれ持って」
俺は財布にあった1万円札をセンセイに渡す。センセイはまだ頭に「?」マークがついているようで、返答がしどろもどろだ。
「運転手さん、とりあえず出てください。行先はこの人があとで言います」
センセイを強引にタクシーに乗せて、運転手にそう言ったあと、ドアを閉めた。タクシーが動き出してやがて見えなくなった。
センセイはずっとこっちを見ていた。
俺はタクシーが見えなくなっても、しばらくその方向を見続けていたけど、
「あ、いけね。センパイのこと忘れてた」
と独り言を言って、またホテル街の方へ歩きだした。
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