2.花火のあとで

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「痛い!!放してください!」 センセイを強引に引っ張る糞ハゲおやじ。 もう少し…。 「ここまで来ておいてそれはないよ夏帆ちゃん!ね?優しくするから…」 黙れ。 「やめて!!」 「最初からそのつもりだったんだろ!?いいから大人しく…」 死ね。 「少年!!!」「ん?へぶしっ!!」 思いっきり殴り飛ばした。 ダメだ足りねぇ。完全にキレた。追い打ちで腹を思いっきり蹴る。 「うっ!!」 ゲス糞ハゲ野郎はホテルの前でのびている。 センセイは何が起こったかわからない様子で、キョトンとしていた。 「行きましょう、センセ」 その手を取って駅の方へ歩きだした。 「え…?ま…前川くん?」 ちょうどタクシーを見つけた。いいタイミングだ。俺は手を挙げて停めた。 「センセ、ちゃんと家の住所言えます?」 「え…うん…あ…はい」 「じゃあこれ持って」 俺は財布にあった1万円札をセンセイに渡す。センセイはまだ頭に「?」マークがついているようで、返答がしどろもどろだ。 「運転手さん、とりあえず出てください。行先はこの人があとで言います」 センセイを強引にタクシーに乗せて、運転手にそう言ったあと、ドアを閉めた。タクシーが動き出してやがて見えなくなった。 センセイはずっとこっちを見ていた。 俺はタクシーが見えなくなっても、しばらくその方向を見続けていたけど、 「あ、いけね。センパイのこと忘れてた」 と独り言を言って、またホテル街の方へ歩きだした。
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