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二人の女性は同じく地域の幼馴染で、元気で男勝りな光子(ミッコと呼ばれている)と、物静かな百合子(ユリと呼ばれている)だった。
「なんだよ。何でお前らまで来るんだよ」
とタツは言った。
言葉と相反して、どことなく嬉しそうだ。
「うるさいな、いいでしょ来たって。のっぽんに呼ばれたの」
「まあまあ、二人共そこに座ってよ。イッキぃ。二人にコーラを差し上げて」
同じ地域でも、こうやって5人だけが集まるのは、久々だった。
しばらくの間、雑談で盛り上がった。小学生の頃は、いつもこの5人で遊んでいたのだ。
僕は4人が話しているところを、三脚に固定して録り続けた。そして、月刊写真雑誌のあるページを開いて、みんなに見せた。
最初に反応したのはタツで、素早くそれを手に取った。
「ん? 何何? 高校生アマチュア短編映画祭。作品募集……」
ユリがタツの後ろに回って覗き込んだ。
「ねえねえ、正賞がブロンズ像で、副賞が30万円と最新のビデオカメラだって、書いてあるよ」
「ホントだ。でも、それ最優秀賞じゃんよ」とミッコ。
「みんな聞いてくれよ。来年は受験だろ?こんな事してられんのは今年しかないんだよ。なあ、イッキそう思わねえ?」
「解る。けど何で映画なの?」
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